僕の祖母の孫の僕(^^)

カイコ日和

カイコのように静かに生きてます。月曜日生まれです。漫画好きです。

【小説感想】「水車館の殺人」で己の推理力を測れ!《83点/100点》

 

水車館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

水車館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

 

あらすじ

仮面の当主と孤独な美少女が住まう異形の館、水車館。1年前の嵐の夜を悪夢に変えた不可解な惨劇が、今年も繰り返されるのか? 密室から消失した男の謎、そして幻想画家・藤沼一成の遺作「幻影群像」を巡る恐るべき秘密とは……!? 本格ミステリ復権を高らかに謳(うた)った「館」シリーズ第2弾、全面改訂の決定版!

『水車館の殺人 <新装改訂版>』(綾辻 行人):講談社文庫|講談社BOOK倶楽部

 

感想(ネタバレ注意)

突然ですが、皆さんはムチで叩くのが好きですか?

それとも叩かれるのが好きですか?

僕は叩かれるのが好きです。

キムチと同じくらい好きです。

ガッキーと同じくらい好きです。

つまり僕の人生の最終目標はキムチを食べながら、ガッキーにムチで叩かれることです。

かみ砕いて言うと僕はMだということです。

 

しかしミステリに関して言えば、僕はSです。

何言ってるか分かりますか?

分からないでしょ?

意味不明でしょ?

説明しましょう。

 

ミステリの醍醐味とは何か?

それは騙されること推理することです。

世の中には多種多様な変態が存在するわけで、推理小説を読み、騙されることが快感だとのたまう変態もいます。

そう、彼らはミステリという分野においてMなのです。

変態ですよね。

対照的に、推理小説を読みながら、とにかく犯人を当ててやろう、トリックを見抜いてやろう、などばかり考え、それが的中することに快感を覚える変態がSです。

この変態の1人が僕です。

 

綾辻行人さんの館シリーズの第一作目「十角館の殺人」には、そういう意味で言えば騙されることの快感が異常に含まれています。

ミステリにおいてSの僕でもあれを読むと、自分の中のミステリMが暴れ出しそうになります。

あのトリックは衝撃的です。

超攻撃性のムチです。

グリンガムのムチですよ。

 

しかしそれとは対照的にSの人には「水車館の殺人」が合っているのではないかと思われます。

 

なぜか?

トリックが鬼のように緻密だからです。

推理しがいがあるのです。

Sの人は普段強気な人ほどムチで叩く時に興奮すると言います。

それと同じです。

緻密に作られた推理小説ほどミステリのSには興奮するのです。

 

しかも、「水車館の殺人」はそういう謎解きしたい人を歓迎してる節があります。

十角館で騙された身としては、「水車館の殺人」を読むときにどうしても力が入る。

絶対に謎を解いてやろう、犯人を当ててやろうと意気込みながら読みます。

けれど、この小説はそんな大枠だけではなく、細部にいたるまで推理してみろ!と読者に挑発しているかのごとく、精密に作り込まれ、かつヒントが所々にあります。

ただ騙すだけのミステリではなく、なんとなく犯人が分かった人のためにも、その先を推理できるように様々な情報がちりばめられているのです。

登場人物の性格、何気ない風景描写、いかにもな姿をした館の主人、そして物語の構成、全てにちゃんと意味があります。

それをどれだけ見抜き、どこまで推理できるか?

そんなミステリの醍醐味が詰まった一冊です。

 自分の推理力、自分のS力を試したい人にオススメです。