日常の中の眼鏡
眼鏡を買いに行った。
先日車の免許を取ろうと申し込みに行ったら、視力検査で引っかかったからだ。
朝の10時半頃に眼鏡屋を訪れた。対応してくれたのは若い女性の店員だった。24、5歳といったところか。眼鏡はしていなかった。ならコンタクトをしているのだろう。眼鏡屋の店員が眼鏡もコンタクトもしていないなんて、世の摂理に反するからだ。
とりあえず視力検査をすることになった。少し緊張した。
はっきりと見えていなくても、当てずっぽうが当たると、自分の目が過大評価されてしまう。
だからといって、分かりませんを連発するとなんだか自分がアホに思われる。
僕はアホだと思われるのを極端に嫌う。
理由は、アホだからだ。
とにかく回数制限のある分かりませんの使い道に苦労した。
最終的には、分かりませんの回数を抑えつつ、答えるときも過大評価を避けるために、「うえ?いや、み、いや、、う〜ん、うえ」などと自信のなさを演出するようにした。
たぶんアホだと思われた。
検査が終わると、眼鏡のデザインを選ぶよう言われた。
どれも同じに見えた。やはり自分の眼は悪いらしい。
必死に自分の眼に念を込めてみたが(すなわち「凝」を試みた)、結局それらの違いはよく分からなかった。
迷った挙句、NEW!!と書いてあるものを選んだ。
NEW!!なら間違いがないと思ったからだ
(特に「!!」の所が)。
眼鏡が完成するまでに30分かかると言われた。11時45分に来てくれれば良いと言われた。仕方がないので近くのユニクロで時間を潰した。
僕は時間に正確なのでちょうど11時45分に行こうとしたが、あまり正確だと気持ち悪いと思われるので、正確に2分遅れの11時47分に眼鏡屋に戻った。
レジの所に行くと、40代くらいの男の店員がいた。店長だろう。
40代で男というだけで僕は店長だと決めつける癖があるのだ。
受け取るだけなのでその人に話しかけた。5メートルくらい離れたところに先ほどの女性店員がいて、話しかける直前にふと目が合い、なぜだか気まずくなった。
別にさっきと同じ店員に話しかけなければいけないというルールはない。だから何も悪くないのだ、と自分に言い聞かせた。
店長に最後の調整をしてもらった。店長は眼鏡をしていた。店長なので眼鏡の下にコンタクトもしているかもしれない。店長くらいなら、そんな二兎の追い方もしているだろう。などと、考えていると自分の眼鏡がでてきた。
「おお、これが俺の眼鏡か!」
「やっぱり世界の見え方が変わるな!」
などとはしゃぐことはなかった。当たり前だ、どうせ運転する時以外はつけるつもりはない。受け取ると、軽く会釈をして店を出た。
店が見えなくなるところまで来ると、一応掛けてみた。まぁまぁだった。
一応家に着くまで掛けた。
家に着いてからも一応掛けたまま、テレビを見たりした。
いつも以上に榎並アナがあたふたしているように見えた。